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夏目漱石

「夏目漱石を読む」(吉本隆明著)を読む

夏目漱石という人物を通して作品を読んでいくと、ひと味違ったものになっていくのだろう。

私は、「こころ」「坊ちゃん」くらいしか読んでいないと思うけど(他はみな途中で挫折)、この本を参考書代わりに漱石の作品を読んでいきたいと思わせてくれました。

漱石の作品が読み継がれていく訳は「大なり小なり漱石の作品が訴えかけてくる感動は、作者が、われを忘れて身を乗り出してきて,小説の枠組みを跨ぎ起してしまうところにあるような気がします、まじめで真剣なものだから、けっして読者に悪い感情をあたえないんです。(p17)」とあります。

小説家になる以前から秀才として日本では有名で、そんな漱石が四国の教員になってしまうというのも不思議です。(給料は校長よりも高かった。)

漱石にはパラノイアという妄想的な神経症の傾向があり、追跡妄想、恋愛妄想を形づくるものを抱えていたといいます。
これには同性愛的な資質もあるということですが、「こころ」を読んでみるとそうかなという印象があります。

夫人にもヒステリー(幼児期の性的虐待が原因という)というものを抱えていたといいますが、漱石はそのことで自分を責めていて、お互いの本で相手の精神病的な部分を指摘するものの、自分自身については語っていないところを著者は面白がっているようです。

漱石は人間の宿命ということ、宿命は反復を強いているということをたいへんかんがえた作家です。だから、必然的にじぶんはこうなったという面と,もしおれがこういうふうな育ち方をしてなければこうなったはずだというかたちをよくかんがえぬいた作家です。それを「明暗」にこめながら途中で,衰えも見せないまま倒れてしまったのが作家漱石の生涯ではないでしょうか。(p254)」と結んでいます。
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by masagorotabi | 2015-03-31 19:39 | 読書日記 | Comments(0)
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