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戦後腹ぺこ時代のシャッター音(岩波写真文庫再発見)

「戦後腹ぺこ時代のシャッター音(岩波写真文庫再発見)」(赤瀬川原平著)を読む

昔の素朴さが良かったとは書かれていますが、それは「昔は良かった」という意味ではなく、温故知新という諺の範疇に属する表現だと思えます。

温故知新という尺度で物事を考えると、昔の良さがにじみ出てくるもので、便利さが無機質なものとなってしまいがちな現代の生活にも活かせそうな気がします。

著者はというと、路上観察学トマソンがまず頭に浮かびますが、無意味なものに価値を置くという姿勢は、この本の文章の中にいかんなく発揮されていて、それが心地よさを感じさせてくれます。

素朴だった時代より、神経質で理屈ぽくなった現代を幼稚になった表現されている文章もありますが、素朴という言葉の意味を今一度考えてみようと思わせてくれます。

戦争直後まで日本は蚤で湧いていたと思いますが、それ以降の日本は小奇麗になり蚤の市という言葉もそもうい無くなるのであろうか。

蚤といえば、戦争中に明日死ぬかもしれぬ生活の中で、生きている人間には蚤はたかり、人が死ねば蚤もその身体から離れて隣の暖かい生きている人間の元へと移り住んで来るという話を聞いたことがあります。
蚤を殆ど見かけない現代ですが、人間の暖かさに近寄ってくるものはいるのかいないのか、そんなことも考えるのである。
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by masagorotabi | 2016-01-15 23:05 | 読書日記 | Comments(0)
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