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蝦蟇の油 黒澤明

「蝦蟇の油(自伝のようなもの)」(黒澤明著)を読む

黒澤明の生い立ちから書かれていますが、1歳のときの記憶が残っているとあります。
「私は、裸で洗面器の中に入っていた。
 そこは、なんだか薄暗いところで、洗面器の中のお湯につかって、その洗面器のふちを掴んで揺すっていた。」
三島由紀夫は生まれた時の記憶があると、なにかの本で読んだ記憶がありますが、卓越した能力があるひとは、こんなものなのかと思いました。

関東最震災で被災されたことが書かれていますが、当時のデマによって朝鮮人が殺害されたことも記されています。

日本人は、何故日本という国に自信も持たないのだろう。何故、外国のものは尊重し、日本の物は卑下するのだろう。」(p343)

羅生門がカンヌ映画祭の金獅子賞を受賞した時、当時の社長がこの映画を推進したのは私だというインタビューを聞いた時に(実際はその逆のことをしていた)、唖然としたといいます。
人間は自分を美化するもので、私自身もこの自伝を書いてそうになってはいないかと疑問を呈しています。
こういう感性に、黒澤明という人間の凄みを感じてしまいます。
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by masagorotabi | 2017-09-06 20:03 | 読書日記 | Comments(0)
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