カテゴリ:読書日記( 278 )

旅の手帳

「宮本常一 旅の手帳(庶民の世界)」を読む

能登の人は働き者だと記されています。
杜氏もこの地の出身者が多い。

千枚田を見ても、この地の人たちが最大限に活かして工夫して生活していたのかがわかります。
この田んぼには、3株しかないものもあったとあり、もの造りにっぽんの神髄がこの千枚田を見てもわかります。
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by masagorotabi | 2017-12-13 19:47 | 読書日記 | Comments(0)

夜明けあと

「夜明けあと」(星新一著)を読了

夜明けあとというのは、明治維新後のことで当時の新聞記事を見出しを寄せ集めた本です。

福沢諭吉の奥さんは介護が趣味とか、岩崎弥太郎(三菱の創始者)の葬式には6万人の食事やお菓子を用意したとか、こういった記事が印象に残ります。

この時代も猟奇的な事件があったのだなとつくづく思いましたが、柳田国男の「山の人生」を読んでも人間の闇は時代に関係なく持ち続けているのだろう。

そうした怪物を生み出してしまうのは人間社会であって、そういた種も今も昔もみんなが持っているものと思います。

あとがきに「明治時代には、夢や、将来への期待や、面白いことが、いっぱいあった。それを知って頂ければ、それでいいのです。」と結んでいます。
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by masagorotabi | 2017-12-10 19:15 | 読書日記 | Comments(0)

起業家

「起業家」(藤田晋著)を読む

金のためにやっているわけでもないのに、金を批判され。名声や名誉のためでもないのに、陰口を叩かれて。前に進もうとするととられる揚げ足。成功する度に増えていく妬みや嫉妬。少しの本当を混ぜながら嘘をつかれたり、全くの出鱈目のうわさ話も今ではもう慣れました。
今だから笑える話も、当時はただもどかしくて悔しくて見返したくて、いつか全員を黙らせたくて。
』(まえがきより)

なにか新しいことを始めるひとは、必ず陰口を叩かれるそうです。
そういった陰口というのは、本人にも分かるしあえて分かるよう揚げ足をとったり、姑息なことをするのが人間の性癖なのであろう。

著者は、会社を設立した当初、知人にも嘲笑されたり、銀行には相手にされなかったり、こうしたことが今の日本の閉塞感に通じているのかもしれません。

こうした人間に潰された人たちは山のようにいるんだろうなあ。
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by masagorotabi | 2017-11-28 20:15 | 読書日記 | Comments(0)

野呂邦暢

「丘の火」(野呂邦暢著)を読む

知らない間に野呂邦暢の本が出版されていたり、電子書籍化も2冊ありました。
今までは本を手にすることがなくて野呂邦暢本を読むことができなかったのですが、嬉しい知らせです。

いつから野呂邦暢が好きになったんかわからないのですが、ぼちぼちと読書を楽しんでいきます。
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by masagorotabi | 2017-11-12 20:51 | 読書日記 | Comments(0)

江藤新平

「歳月」(司馬遼太郎著)を読む

幕末、明治と活躍した佐賀藩 江藤新平を主人公にした小説です。

薩長を中心とした新政府ですが、結局、志などはなくしてしまって私利私欲にはしってしまいます。
その中で司法卿として活躍していましたが、征韓論の渦巻く中、佐賀の乱の首謀者として捕えられて斬首されてしまいます。

その背後には、犬猿の仲の大久保利通がいて大久保の描く通りに事が進む当たりはかなりの策士で、首切りの写真が残っているくらいですから、その憎悪は甚大だったのかもしれません。

大久保も後に暗殺されてしまいますが、知人からの借金がかなり残されていたと言います。(「夜明けあと」星新一著より)
このあたりは政治家として潔癖だったのですね。

逆に井上馨のような小賢しい人物の要因が少しでもあったなら、江藤新平とも上手く渡り合えたのかもしれませんが、大久保利通、江藤新平とどこか似通った性格が反発を呼び込み、お互いの悲劇を招きこんでしまったのかもしれません。

二人の傑出した人物が手を組んで、日本という国をどんな風に導いたのか、そんな明治も見たかったなあ。
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by masagorotabi | 2017-11-11 20:10 | 読書日記 | Comments(0)

人生散歩術

「人生散歩術(こんなガンバラナイ生き方もある)」(岡崎武志著)を読む

吉田健一のことも紹介されていますが、吉田健一にとって友達とは「勇気を与えてくれるもの」というのがあるそうです。

友達の「美点」しか見ておらず、他人から見た欠点でも吉田にとっては美点に思えてしまう、そんな人だったそうです。
だから友達を大切にし大切にされてきたのであろう。

他に、井伏鱒二、高田渡、木山捷平、田村隆一、古今亭志ん生、佐野洋子が紹介されていますが、みんな人生の達人とでもいえるような、酸いも甘いも知り得た方々です。
生きる参考書とでもいえる面々です。
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by masagorotabi | 2017-11-01 22:43 | 読書日記 | Comments(0)

幕末から

司馬遼太郎の「燃えよ剣(土方歳三)」「歳月(江藤新平)」星新一の「夜明けあと」を同時進行で読んでいます。

「夜明けあと」は維新からの新聞に載った記事からの抜粋等で、時系列で読み進めることができるので、明治期の時間の流れが把握できます。

下関事件で薩摩が米国に賠償金を払わされた金は、日本人が米国に留学した時に使われるとか(本当に使われたかは定かではありませんが)、八丈島を捕鯨の基地として米国から売って欲しいと打診があったとか、なかなか面白い記事があります。
この時期にロシアからアラスカも微々たるもので買い取ったとありますが、八丈島も米国のものになっていたらと思うと哀しくなりますね。

維新の時には、300年平和に暮らしてきた日本に、薩長はなんてことをしてくれたと思っていた人たちは多くいたそうです。
勝てば官軍と言われますが、江戸幕府がそのまま日本を統治していた方が良かったと私等は思ってしまいますが、狂気じみた人たちが日本を語り世界を語り暗躍した時代というのも悪くはなかったのではないかと、土方、江藤などを読み進めているとそんな考えを抱かせてくれます。
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by masagorotabi | 2017-10-20 22:29 | 読書日記 | Comments(0)

分厚い本

「化石」(井上靖著)を読む

50年程前に書かれた本ですが、現在では再販されていないようで古本でしか手に入りませんでした。

建設会社の社長がフランスへの旅行中に具合を悪くし、余命1年と宣告されます。
内省し、どのように生きていったらと迷います。

誰しもいつかは死にますが、それは今日かもしれないし何十年後かもしれません。
そのことは余命宣告されていないだけで、知っているかいないかの違いなのかもしれません。(この本の中にも、そういったことは書かれています。)

主人公はみんながくつろげる公園を作ること画策したりします。(どこかで似た映画がありますが)

ネタバレになりますが、精密検査の結果、手術をすれば根治でき、明日への希望として物語は終わります。

メメントモリ(死を想え)という言葉がありますが、余命ということを常に頭の中に入れておきたいなと思いました。
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750ページの長編
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by masagorotabi | 2017-10-06 20:41 | 読書日記 | Comments(0)

約束された場所で

「約束された場所で」(村上春樹著)を読む

「アンダーグラウンド」は、オウム事件で被害に遭われた人たちにインタビューしたもので構成されたいますが、この本はオウムの信者の人たちのインタビューと河合隼雄氏との対談で構成されています。

村上氏がこの本を書いた訳は(だいぶ前の本ですが)、あれだけの事件を起こしたのに根本的な原因というのが解決していないとみたからです。

オウム事件を起こしたのはオウムの上層部で、ここでインタビューに応じた人たちはまるでそのことを知らなかったようです。

河合氏との対談では、人間の悪について語られていて、悪を外に向けるとオウム事件やヒトラーに通じ(現代では北朝鮮か?アメリカも?)、悪を内に向けて(家庭など)物事を解決していく姿勢が大事だと問うています。

インタビューに応じた信者の人でパン屋さんを開いた人がいるのですが、そこへ警官が訊ねてきてパンを食べたいとねだっている姿に苦笑してしまいました。
この警官もまた外へ悪を向けているんですね。

当時は警察、マスコミ、世間、オウムに向けて悪を突きつけていました。
対談で村上氏は、オウムの気持ちもわからないではないという20代30代の人には多かったと語っています。(年齢が上がる程、絶対許さないというひとが殆どだそうです。)

だから正義というのは怖いものであり、まずは自分自身の中の悪と対峙することが大切なことなのであろう。
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by masagorotabi | 2017-09-11 14:47 | 読書日記 | Comments(0)

蝦蟇の油 黒澤明

「蝦蟇の油(自伝のようなもの)」(黒澤明著)を読む

黒澤明の生い立ちから書かれていますが、1歳のときの記憶が残っているとあります。
「私は、裸で洗面器の中に入っていた。
 そこは、なんだか薄暗いところで、洗面器の中のお湯につかって、その洗面器のふちを掴んで揺すっていた。」
三島由紀夫は生まれた時の記憶があると、なにかの本で読んだ記憶がありますが、卓越した能力があるひとは、こんなものなのかと思いました。

関東最震災で被災されたことが書かれていますが、当時のデマによって朝鮮人が殺害されたことも記されています。

日本人は、何故日本という国に自信も持たないのだろう。何故、外国のものは尊重し、日本の物は卑下するのだろう。」(p343)

羅生門がカンヌ映画祭の金獅子賞を受賞した時、当時の社長がこの映画を推進したのは私だというインタビューを聞いた時に(実際はその逆のことをしていた)、唖然としたといいます。
人間は自分を美化するもので、私自身もこの自伝を書いてそうになってはいないかと疑問を呈しています。
こういう感性に、黒澤明という人間の凄みを感じてしまいます。
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by masagorotabi | 2017-09-06 20:03 | 読書日記 | Comments(0)