カテゴリ:読書日記( 282 )

かけがえのない生活

「ユニクロ帝国の光と影」(横田増生著)を読む

なぜ製品が良く安価なのか、それによって何を得て何を失ったのかがよくわかります。

離職率の高い企業であるということは、ネット記事などで知っていましたが、働いている側にスポットを当てると、過酷な現状が見えてきます。

徹底したマニュアルと仕事量、店長としては自分の色を出す隙さえありません。
それは軍隊にも似た世界で、休憩室に入る時でさえ、一声かけてではないといけないそうです。

逆にいうと、自主性に任せた仕事をさせたらどうなるか?
善良な人間なんて極めて少ないので、質の高い接客は無理なのであろう。

雑誌「暮しの手帖」の編集長のエッセイを読んだことがあります。
その中で、給料の半分は会社にいない時のものとして考えて欲しいと、働いている人たちに伝えたそうです。(うろ覚え)

自分たちのかけがえのない生活もまた、仕事の延長線ということなのか?
仕事あってこその充実した生活、またはその逆ということなのか?
編集長の言葉は、働いている人たちにとっては、どれだけ救われるか、そんなことを考えました。

僕は、善良な人たちから製品を受け取りたい。
それが、心地よい記憶として残り、かけがえのない生活だと思う。
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by masagorotabi | 2013-07-25 20:59 | 読書日記 | Comments(0)

達成感

「伊丹十三の本」(「考える人」編集部編」)を読む

映画のADという仕事は、それほど楽しいものではないけど、その中でテーマを決めよと伊丹さんは話したそうです。
目標の設定とその達成感が大事として、今日は挨拶を明るくしてみよう、誰よりも迅速に弁当を配ろうとか、そうした些細な出来事の中で、面白さを見つける楽しさを仕事の中に見出していったのかもしれません。

ただ何気なく生活するのではなく、どんな小さな達成感でもその積み重ねで、いずれそれは大木になるのではないかという、そんな予感すらします。
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by masagorotabi | 2013-07-11 21:09 | 読書日記 | Comments(0)

企業戦士

「シャイロックの子供たち」(池井戸潤著)を読む

銀行に関わる人たちの、連作短編集です。

読んでいると、金融業に関わる仕事をしている人たちは、大変なのだなあと思わせてくれるのですが、まさしくそれは企業戦士と言われるものなのかもしれません。

思い出したのが、「約束された場所で」(村上春樹著)の本でした。
オウムの信者だった人たちのインタビューと河合隼雄氏との対談という内容でした。

その中に、あるサラリーマンの言葉で、もし会社にやれと言われたらサリンをまくかもしれないというものがありました。(うろ覚え)
まさしく戦場であるなと感じます。

もひとつ印象に残っていたのが、オウムの信者には感じのいい人が多かったというものです。
年配者になればなるほど、オウムは絶対に許さないという意見が多く、若い人たちは気持ちは分かるというスタンスで接しているのも興味深いです。

オウムとはなんだったのか?
その答えは、ブラック企業、オレオレ詐欺が問題になっている現代社会にも通じる病巣であり、その中から見つけ出していかないといけないのだろうと思うのです。

人は、もっと楽に生きられないのだろうか・・
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by masagorotabi | 2013-07-07 19:58 | 読書日記 | Comments(0)

自信

「死ぬここと生きること」(土門拳著)

著者は写真家ですが、アマチュアとプロの違いを論じています。
プロの場合は、使用目的を与えられ、迷いなく被写体に向かうことができ、反面アマチュアの場合は、そういったものがなく、自信を持って被写体に接することができないとあります。
(植田正治のように自らを「アマチュア写真家」と称した、すばらしい写真かもおりますが)

こうも書いています。
「プロになったら、好きな写真は撮れないのだ。毎日、撮りたくもない写真を撮って暮らすのが、プロというものなのだ」(本文より)

必要とされ、撮りたくもない写真を撮り、それに応えるのがプロとすれば、自信を持つということは、なんて残酷なことだろう。
好きな写真を撮っているということは、自信を持つことさえ許されないことなのだろうか。
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by masagorotabi | 2013-06-10 21:26 | 読書日記 | Comments(0)

オノマトペ

『「ぐずぐず」の理由』(鷲田清一著)を読む

言語学にオノマトペというのがあります。
ギリシャ語のonoma(名前)とpoiein(つくる)の合成語を語源として、「意味される事物との音の類似によって語を形成する」とあります。
たとえば、「わんわん」「げらげら」「いらいら」など。

どうしてこうした言葉が生まれたかというと、

「オノマトペは、感覚という次元で事態から身を引きはがす一種の抽象をおこなう」(本文より)

ドイツでは「音の絵」と表現されているそうですが、もしかしたら右脳を使って、このような言葉が生まれているのかもしれません。

理屈では分かっていても、何も行動に現すことができないというのはよくある話ですが、そんな時はオノマトペを使って態度に現す。
「どっこいしょ!」(これもそうだよね)って。
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by masagorotabi | 2013-05-26 21:18 | 読書日記 | Comments(0)

恋愛

「超恋愛論」(吉本隆明著)を読む

理想の恋愛と結婚を目指した文学者は、ことごとく挫折したとあります。
(北村透谷、国木田独歩、高村光太郎)
そうした問題は、個人の力ではどうにもならないというのが原因(因習、伝統、家族制度)とありますが、こうした問題を抜きにしては恋愛は語れないとあります。

著者は、自称ひきこもりと評していますが、ひとりの時間を持つことを勧めています。
特に女性は、雑務をこなしていかなくてはならないので(哀しいかな、そういう社会ということです)、時間が分断されて、そうした時間を過ごすことができないので、じっくりとものを考える時間が必要と説きます。
なぜなら、それは「世の中の見えない束縛から逃れるために」(カッコ内は本文より)。

GW、何処にもいく予定がないと嘆く必要もないと思います。
じっくりとひきこもって、世の中の見えない束縛から逃れる方法を考え出せばいいのだから・・
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by masagorotabi | 2013-04-22 20:07 | 読書日記 | Comments(0)

正岡子規

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『病床六尺』を読む。
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by masagorotabi | 2013-03-21 20:06 | 読書日記 | Comments(0)

飢餓海峡

「飢餓海峡」(水上勉著)読了

長いですが、すんなりと読みきるに至りました。

戦後直後から10年ほどのお話になります。
あらすじは割愛しますが、始め極悪非道と思われた人物が、事実が分かるにつれ悲哀を感じるようになりました。

人には生い立ちがあり、それが人間形成に大きく影響してきます。
主人公というべき男女二人もまた、それに翻弄され、罪深さの中で生きて行かざるをえません。

「砂の器」(松本清張著)と共通するもの哀しさをこの作品にも感じましたが、そうした罪を背負わすことのない現代に生まれた日本人は、多少なりともその罪を感じる感受性を持たなくてはいけないのではと思いました。

後半は、すっ飛ばして読んでしまったので(結末を早く知りたかったので)、もう一度そこだけ読み返してみようと思います。

すばらしい小説でした。
映画もあるので、そちらの方も。
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by masagorotabi | 2013-02-18 21:06 | 読書日記 | Comments(0)

流星

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南西諸島を歩いた時に、この曲(「流星」吉田拓郎唄)をMDに入れて聴いていたひとつです。
色々と旅に持っていく曲を探していて、曲名に魅かれ、それまでこの曲のことは知らずにいましたが、いかにも僕の旅にマッチした感があり、選択してよかったなあと思います。

この曲を聴くと、あの旅のことを思い出し、思わず熱さが蘇ってきます。
島々の星は、美しかった・・


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by masagorotabi | 2013-02-16 19:53 | 読書日記 | Comments(5)

あのころ

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「わが師わが友」(山口瞳著)を読む

伊丹十三著の「ヨーロッパ退屈日記」(昭和40年刊)に著者の一文が載せてあります。
「私はこの本が中学生、高校生に読まれることを希望する。汚れてしまった大人たちではもう遅いのである」

「わが師わが友」の中に「ひとつの青春」というエッセイがあります。
著者がサントリーの宣伝部にいたあの頃のことが綴られてありますが、最後の一文を記してみます。

「数え齢50歳になった私が、いま、若い宣伝部員に偉そうに苦言を呈するならば「脳ミソがカラカラになるまで知恵を絞ってみろ。そのうえで体当たりで冒険をしてみろ」ということに尽きる。
 あのころは、しかし、仕事がやり易かった。楽しかった。あのころは、しかし、いかにも金がなかった。今は贅沢である。いまの私は贅沢である。しかし、その贅沢の、なんと孤独で貧しいことか」(本分より)

著者の本もまた、若い人に読んで欲しいと思います。
あのころを、今、作って欲しいと願います。
絵は、伊丹十三氏(似ていない)
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by masagorotabi | 2013-01-18 19:24 | 読書日記 | Comments(0)