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約束された場所で

「約束された場所で」(村上春樹著)を読む

「アンダーグラウンド」は、オウム事件で被害に遭われた人たちにインタビューしたもので構成されたいますが、この本はオウムの信者の人たちのインタビューと河合隼雄氏との対談で構成されたいます。

村上氏がこの本を書いた訳は(だいぶ前の本ですが)、あれだけの事件を起こしたのに根本的な原因というのが解決していないとみたからです。

オウム事件を起こしたのはオウムの上層部で、ここでインタビューに応じた人たちはまるでそのことを知らなかったようです。

河合氏との対談では、人間の悪について語られていて、悪を外に向けるとオウム事件やヒトラーに通じ(現代では北朝鮮か?アメリカも?)、悪を内に向けて(家庭など)物事を解決していく姿勢が大事だと問うています。

インタビューに応じた信者の人でパン屋さんを開いた人がいるのですが、そこへ警官が訊ねてきてパンを食べたいとねだっている姿に苦笑してしまいました。
この警官もまた外へ悪を向けているんですね。

当時は警察、マスコミ、世間、オウムに向けて悪を突きつけていました。
対談で村上氏は、オウムの気持ちもわからないではないという20代30代の人には多かったと語っています。(年齢が上がる程、絶対許さないというひとが殆どだそうです。)

だから正義というのは怖いものであり、まずは自分自身の中の悪と対峙することが大切なことなのであろう。
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by masagorotabi | 2017-09-11 14:47 | 読書日記 | Comments(0)

宇宙背景放射

宇宙誕生から37万年後に放たれた光が、現在の地球に降り注いでいるといいます。
それを感じることができるのは、アナログテレビの砂嵐で、約1%がその電波と言われているそうです。

赤ん坊がその砂嵐を見ると落ち着くとはよく言われ、母親のお腹の中に居た時にその砂嵐と似たような感覚を味わったからというのがその理由でしたが、なぜ母親のお腹の中が砂嵐のような感覚なのかが疑問に思いました。

人間も知らない間に電波を感じ、赤ん坊はその音を聞きながら成長すると考えるとなんだか面白い。
138億年前に放たれた光が、子守唄になっていたという、そんな妄想を広げてしまうのである。
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by masagorotabi | 2017-09-07 20:04 | 日記 | Comments(0)

蝦蟇の油 黒澤明

「蝦蟇の油(自伝のようなもの)」(黒澤明著)を読む

黒澤明の生い立ちから書かれていますが、1歳のときの記憶が残っているとあります。
「私は、裸で洗面器の中に入っていた。
 そこは、なんだか薄暗いところで、洗面器の中のお湯につかって、その洗面器のふちを掴んで揺すっていた。」
三島由紀夫は生まれた時の記憶があると、なにかの本で読んだ記憶がありますが、卓越した能力があるひとは、こんなものなのかと思いました。

関東最震災で被災されたことが書かれていますが、当時のデマによって朝鮮人が殺害されたことも記されています。

日本人は、何故日本という国に自信も持たないのだろう。何故、外国のものは尊重し、日本の物は卑下するのだろう。」(p343)

羅生門がカンヌ映画祭の金獅子賞を受賞した時、当時の社長がこの映画を推進したのは私だというインタビューを聞いた時に(実際はその逆のことをしていた)、唖然としたといいます。
人間は自分を美化するもので、私自身もこの自伝を書いてそうになってはいないかと疑問を呈しています。
こういう感性に、黒澤明という人間の凄みを感じてしまいます。
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by masagorotabi | 2017-09-06 20:03 | 読書日記 | Comments(0)