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本当の教養

「私は三年間老人だった」(パット・ムーア著)を読む

1980年代に出版され、2005年に再販された本です。

工業デザイナーの著者は、メークアップアーチストの方と偶然に知り合い、老人の気持ちを知りたいと思い三年間老婦人に成り済ました。

若者たちは老人を遠ざけ、お店に入れば店員から粗末な扱いを強いられる。
正義感と慈愛の精神を持った著者は、素になったときにその店員に文句を言いに行きます。
着ているものによっても人は差別をすることを著者は実感します。

私個人としても、人間というのは大なり小なりこの店員程度の生き物だと持っています。
たえず他人を意識して、バカにされないようにオドオドして生活している。
自分を守るために下品な振る舞いをして鎧をつくり、品性のかけらもない人間へと堕落していく。

ちょっと話はズレますが、スーパーなど食品売り場に行くと、古くなったものは30%割引とかありますが、それでも売れなかったりします。
それは、その商品をレジに持っていた時に、自分が見下げられるのではないかというそんな恐怖心があるのではないかと思います。(それでいて日付の新しい商品を我れ先にと持っていく。)

生きていくのになにが大切かというと、他人と比較して下にランクされるのを怖れ、自分より下と思われる人間を踏み台にしてのし上がるのをよしとする人生なのである。

話は戻りますが、著者の目指すところは、下記の文章です。
お年寄りにとって適切な家、よい個室、便利なアパートや住宅、そしてもっと美しく快適な老人ホームと健康関連設備を作ることにかけて、デザイナーはもっと力を発揮することができるであろう。しかし、老人を価値ある人とみなし、尊敬してくれる人がそこにいなければ、人生は、彼等にとってわびしいままであろう。」(本文より)

最後に、老人ホームで亡くなった老婦人の詩が載っています。
ネットで拾って読むことが出来ますので、よかったら探してみて下さい。
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by masagorotabi | 2016-12-20 19:26 | Comments(0)
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