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瓦礫の中から言葉を

「瓦礫の中から言葉を」(辺見庸著)を読む

天候不良で西日本で未曽有の水害をもたらしています。

この本は、3.11後に書かれたほんですが、当時、「上を向いて歩こう」「見上げてごらん夜空の星を」という歌が頻繁に流れてきたことに違和感をおぼえます。

新聞記者に向かって「(日本は)この際いっそ滅んでもよいのではないか」「べつに再生しなくてもよいのではないか」とふてくされていってしまいます。

どうしてそのように思ってしまったのかは、「方丈記私記(堀田善衛著)」から引用していて、この本には、東京が焼け野原になった直後のことが描かれていますが、その中に他者の死に対しての文面があります。
「人間は他の人間、それが如何に愛している存在であろうとも、他の人間の不幸についてなんの責任もとれぬ存在であると痛感したことがあった。それが火に焼かれて黒焦げとなり、半ば炭化して死ぬとしても、死ぬのは、その他者であって自分ではないという事実は、いかにしても動かないのである」(方丈記私記より)

西日本の水害で屋根の上から助けを求めている映像を見ても、我々んはどうすることもできません。
それは他者であって自分ではないという事実で動かしようがありません。

堀田善衛は「平べったくなる」という言葉を使い、死者に対して同化を試みます。
辺見庸氏は、その言葉に吸い込まれるようにして「滅んでもよい」という言葉で、この状況を抜け出そうとしているのだと私は解釈しました。

あなた方が滅べは我々も滅ぶ・・・

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by masagorotabi | 2018-07-07 21:07 | 読書日記 | Comments(0)
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