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時の廃墟

「時の廃墟」(沢木耕太郎著)を読む

あとがきのような場所に著者は、「青べか物語」(山本周五郎著)に影響を受けたとあります。

「青べか物語」は、山本周五郎が小説家になる前に、一時過ごした浦安(物語では浦粕)の出来事が書かれてあります。
市井の人たちや出来事が描かれていますが、著者はこのような世界をこのように表現できるのかと衝撃を受けます。

向田邦子は生前「山口瞳の作品の中では『世相講談』しか認めない」とよく言っていたそうと書かれています。
この作品もまた市井のひとたちや出来事などが描かれているそうです。

特別目立つこともないけれど、重要な出来事が我々の周りでは日々起こっている。
そうした出来事を丹念に見つめ寄り添うことで、ひとつの作品が出来上がってく。
それは向田邦子の作品にも通じることで、著者もまた独特の感性でルポルタージュという作品を仕上げてきました。

私がどうして向田邦子や著者の作品が好きで、何度でも読めてしまう理由が分かったような気がします。

(山口瞳の「世相講談は」はまだ読んでいないので今度読んでみようと思います。「青べか物語」は青空文庫にあったので先日読み終わりました。類似作品として「季節のない街」も半分くらい読んでいます。正直、面白いとか面白くないとか簡単には言えない作品ですね。)

by masagorotabi | 2018-12-17 20:39 | 落描き | Comments(0)
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